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その後、蓮とはリビングに置いてあるテレビゲームで遊び、時計の針が午後7時半を指した頃、ようやく爽とその連れが下りてきた。
連れの美少年は頬を赤らめ、生まれたての小鹿のように力が入らないのか、爽に支えられていた。
(ったく、どんだけヤるんだよ…)
毎回、毎回、呆れを通り越して尊敬する。
「ごめんね。もう2階に行ってもいいよ。僕はこの子を送ってくるから」
リビングの入り口でそう声をかけ、相変わらずの爽やか笑顔をみせる爽。
今まで激しい運動をしていた奴には到底思えない振る舞いだったが、どれだけ激しかったかは美少年を見れば一目瞭然だった。
「おう!」
俺の代わりに蓮が返事をする。
「ほら、大丈夫?ゆっくり行こうか」
しばらくすると爽と美少年が出て行き、家には俺はと蓮だけが残された。
「お前、今日は何時に帰るんだ?」
「うーん…ご飯食べたら帰ろうかな」
(飯をたかる気は満々かよっ!)
蓮の家は直ぐ隣だ。
両親の帰りは遅く、比較的自由な蓮は女子と遊ばない日はうちでご飯を食べる習慣になっている。
「さて、今日の夕飯はどうすっかな。卵に牛乳…野菜もほとんどねーのか」
これは買い出しに行かないとな、と冷蔵庫を確認しながら考えていると…
「彗はホント、見た目に似合わずしっかりしてるよね。家事が得意な男子とか貴重だし、しかもそれが不良男子とかレアすぎでしょ」
笑いを含んだ声音で蓮が言い、後ろからもたれかかってくる。
「蓮、重い。あと、俺は不良じゃねーよ」
「はいはい。それで買い出しに行くの?俺も手伝うよ」
「そうだな。近くの八百屋にでも行くか」
そうと決まれば行動あるのみ。
素早く買う物リストを頭の中で整理し、さっそく蓮を連れ立って外に出た。
勿論、マイバックは忘れずに持つ。
ここから八百屋までは徒歩5分くらいだ。
辺りはすでに暗いが大丈夫だろう、と踏んでいた俺は甘かった!
八百屋が見え始めた所で10人ほどの男共に囲まれたのだ。
「…何か俺に用か?」
静かに問う。
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