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そしてその見た目に反しない性格の蓮は、大の女好きだ。
事あるごとにナンパをしては週1くらいのペースで彼女がかわる。
色ごとにあまり興味のない彗には理解しがたいが、それが蓮なのだと諦めていた。
「結局どうするんだよ?」
「とりあえず彗の家に行っていい?ついでに夕飯も所望する!」
「お前は相変わらず図々しいな…」
呆れ半分、諦め半分で俺は蓮を見る。
「まぁまぁ、良いではないか!」
カラッとした笑顔で笑い、蓮は俺の前を歩き出した。
「たっだいまぁー」
人の家だというのに我が物顔で蓮が中に入る。
「一応、俺の家なんだけど…」
「気にしない、気にしない」
慣れた足取りで蓮はリビングに向かい、そして直ぐに彼の驚いたような声が響いた。
「あれ、爽〈そう〉いたんだ!」
「いらっしゃい、諏訪部くん」
蓮に続いてリビングに入ると、確かにソファの上には俺の双子の弟、桐生 爽〈きりゅう そう〉がいた。
珍しい。
爽が俺より早く帰るなんて滅多にないのに…。
しかも隣には女顔負けの美少年が存在した。
歳下だろうか?
爽の腕を掴み、ぴったりと寄り添っている。
「彗も、お帰り」
爽は蓮に声をかけた時より幾分素っ気ない態度で俺に声をかけた。
「ああ」
「ねぇ、爽くん。お兄さんもその友達も来ちゃったしさ、爽くんのお部屋に行きたい」
と、ここで爽の隣に座る男の子が甘い声と、これ又甘えた態度で訴える。
「邪魔されたくないし、いいでしょ?」
ちらり…よりはギラリという効果音が似合う瞳でこちらを睨みつつ、爽には甘い笑顔を向ける高等技術を披露してくれる。
…明らかに俺が邪魔ってか?
舌打ちをしそうになるが、いつもの事だと自分に言い聞かせた。
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