Ⅰ.正反対な双子の距離

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と、自分でも理解しているのだが…改めて蓮に言われると、遣る瀬ない気持ちが込み上げてくるのは何故だろうか。 「さてさて、俺らは何する?さすがに今 2階に行くのは自殺行為だろ?」 「珍しいな、お前が空気を読むなんて。蓮なら面白がって覗きでもするかと思った」 ここで一つ補足しておく。 爽は学校で「王子」としてモテているが、俺らの通う高校は歴とした男子校である。 ちなみに、爽は他校の女子からも熱い眼を向けられているが、本人は残念ながらゲイだ。 それは我が校内では周知の事実であり、爽と肉体関係を持った奴は数知れない。 来るもの拒まず、去る者追わずのスタイルを貫く爽は決まった相手を作らなかった。 まぁ、それはいいんだが…家に連れ込むのは勘弁して欲しい所だ。 色々ヤりたい盛りなのは理解出来るが、部屋に男を連れて入ったら確実に数時間は下りてこない。 ちなみに言うと、俺と爽の部屋は隣。 家の壁はそこまで厚くないため、嫌でも行為の音が聴こえてくるのだ。 昔から付き合いのある蓮はそういう事情まで知っている。 蓮自身も色ごとには多感だが、他人の事にも興味を示す奴だ。 からかい混じりで俺が言うと、思いの外蓮は渋い顔をした。 「いや、実は前にやったんだけど…」 まさかの既に事後!? いつやったんだよ…。 「へぇ、それで?どうだったんだ?」 「ああ、うん。とりあえず、お前らは正反対だなとしみじみ思ったかな」 「どういう意味だ??」 「ほら、彗はこういう事には奥手じゃん?」 …確かにそうだ。 俺は爽と違ってゲイって訳でもなければ、女子にモテる訳でもない。 一応、俺の名誉の為に言っておくが…童貞ではないからな! 「爽は…なんて言うかエゲツなかった」 俺はハテナを浮かべるが、蓮はそれ以上は何も言わなかった。 どうやらちょっとしたトラウマを植え付けられたようで、俺は触れない事にしたのだった。
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