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と、自分でも理解しているのだが…改めて蓮に言われると、遣る瀬ない気持ちが込み上げてくるのは何故だろうか。
「さてさて、俺らは何する?さすがに今 2階に行くのは自殺行為だろ?」
「珍しいな、お前が空気を読むなんて。蓮なら面白がって覗きでもするかと思った」
ここで一つ補足しておく。
爽は学校で「王子」としてモテているが、俺らの通う高校は歴とした男子校である。
ちなみに、爽は他校の女子からも熱い眼を向けられているが、本人は残念ながらゲイだ。
それは我が校内では周知の事実であり、爽と肉体関係を持った奴は数知れない。
来るもの拒まず、去る者追わずのスタイルを貫く爽は決まった相手を作らなかった。
まぁ、それはいいんだが…家に連れ込むのは勘弁して欲しい所だ。
色々ヤりたい盛りなのは理解出来るが、部屋に男を連れて入ったら確実に数時間は下りてこない。
ちなみに言うと、俺と爽の部屋は隣。
家の壁はそこまで厚くないため、嫌でも行為の音が聴こえてくるのだ。
昔から付き合いのある蓮はそういう事情まで知っている。
蓮自身も色ごとには多感だが、他人の事にも興味を示す奴だ。
からかい混じりで俺が言うと、思いの外蓮は渋い顔をした。
「いや、実は前にやったんだけど…」
まさかの既に事後!?
いつやったんだよ…。
「へぇ、それで?どうだったんだ?」
「ああ、うん。とりあえず、お前らは正反対だなとしみじみ思ったかな」
「どういう意味だ??」
「ほら、彗はこういう事には奥手じゃん?」
…確かにそうだ。
俺は爽と違ってゲイって訳でもなければ、女子にモテる訳でもない。
一応、俺の名誉の為に言っておくが…童貞ではないからな!
「爽は…なんて言うかエゲツなかった」
俺はハテナを浮かべるが、蓮はそれ以上は何も言わなかった。
どうやらちょっとしたトラウマを植え付けられたようで、俺は触れない事にしたのだった。
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