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突然、顔に何かが覆いかぶさってきて、喚き声をあげて跳ね起きた。
いったい何? 誰かいるの?
私の鼓動は早まり見えない敵に対して防御姿勢をとった。がしかし、誰もいない。夢でも見ていたのだろうか。寝ぼけていただけなのだろうか。一人暮らしでよかった。慌てふためいた姿を誰かに見られていたら最悪だ。想像しただけで恥ずかしい。
今、鏡を見たらきっと真っ赤な顔をしているだろう。それに髪もボサボサだろうし、すっぴんの寝ぼけた顔なんて見られたものじゃない。おっさんみたいな顔しているかもしれない。いやいや、私はおっさんじゃない。可愛い女の子。なんて言うのはおこがましいか。アラサー女子だから。
それにしても朝陽が眩しい。カーテンの隙間からキラリと光る朝陽が差し込んでいた。窓際に足を向けて少しだけカーテンを開ける。寝起きの私には眩し過ぎて目が痛い。
眩しさに手を翳して眇め見れば、青く澄み切った空がそこにあった。ただ、朝だというのに少し蒸し暑いことに嫌気が差した。
ちょっと早いけど起きよう。グーッと腕を上に伸ばして首を左右に傾ける。
んっ?
気のせいだろうか。どこからか視線を感じる。誰もいないはずなのに。やっぱり、誰かいるのだろうか。どこかに隠れている。私の顔に覆いかぶさってきた感触は気のせいじゃなかったのかもしれない。
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