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まさか成功するなんて思いもしなかった。
サラサラとした土の上に描かれたペンタクルがその者が何をしたかを想像させるのに難しくなかった。
腐臭が漂う。
ドロドロとした闇がペンタクルを下に見つめている男のあたりを漂う。
『我を呼んだのはお前か…』
低く恐ろしく歪な声だけが響いた。
姿は見えないが、闇が濃くなり、殺気が漂うことから、何かの気配がペンタクルの上にいるのだと思わせた。
男は悪魔の召喚に成功した喜びと恐怖で混乱していた。
「このヨーロッパ全土の霊感者達を生贄に捧ぐ。
私はその架け橋となろう。
そしてこの世の滅亡を望む。」
『人間とは時に恐ろしい生き物だ…。
我等と同等、いやそれ以下の外道となりし思想を時に持つ。
私の古の眠りを呼び醒まし、そのような願いを述べるなど…。
我を魔界より召喚する術を何処で知り得た…?
答えよ。人間。』
男は答えられずに困っていた…。
その術を教えた者からは他者に自分の事を絶対に教えてはならないと言われているからだ。
『なるほど…答えられぬか。
おそらく余程に暇な魔界のものがそなたに入れ知恵したのだと伺える。
良かろう。我の力を使いて、人々を魔の道へと誘おう。
人間共は人間共の手によって殺される。
我がこれから教えるペンタクルと呪文を白魔術、もしくはまじないと称し、教会の者共へ広めて回れ。
魔界から我等が同胞が溢れ出すだろう。
さぁ、カーニバルの始まりだ。』
姿の見えない存在は男の中へと入り込んだ。
男は放心状態のまま、闇の中へと消えていった。
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