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俺は決まって夏にフラれる。
「夏なんてなくなればいいのに!」
ギンギラギンに照りつける新宿の空に叫んだ。
小田急サザンタワーに入る。ガラス張りのアトリウム空間が広がる。
世間はリオで盛り上がっている。卓球の愛ちゃんが結婚した。榮倉奈々が結婚した。妻夫木とマイコも結婚した。焦る!こう見えても役者なんだけどね?売れない。
イチャイチャしているバカップルを後ろから蹴飛ばした。俺は選ばれた存在だ、何をしても罪にはならない。
「あれ?志摩さんじゃないですか?」
バカップルの女の方が平然と言った。
「蹴られたのに、痛くないの?」
「あたし~痛覚がないんですよ~」
「君は魚か?けど、よく知ってるな?最近、ドラマにも出てないんだけどな?」
魚には痛いって感覚はない。金子みすゞって暗そうな作家が言ってたじゃん?
『海の魚は可哀想』
大丈夫、奴らには感情ないから。
「私、売れてない俳優さんが好きなんです」
「妙な趣味だな?ありがとよ、お世辞」
「犯罪者の役とか多いですよね?ヤバいコネクションとかあるんですか?」
女はビクビクしてる。
「ありゃあドラマだからな~、八名信夫さんに弟子入りしようかな?」
「嫌なノブオ?」
「青汁のCMに出てた人、知らないかな~?」
彼氏が目を覚ました。生意気にガキのクセに金髪だ。イヤイヤ、ガキだから金髪にするのか?
「てめぇ、俺の梨絵に手を出すな!」
「うっせーよ!」
パンチをガキに喰らわせた。俺の得意技だ。1秒でダウンした。
「志摩さん、つよーい。エッチしません?」
スキップしながらワシントンホテルに向かった。
久々の女の肌に、下半身はビクンビクン脈を打っている。
互いに真っ裸になってベッドの上で向かい合う。
クソッ!俺の息子は萎えたままだ。
「どうしたの?あたしって魅力ないですか?」
梨絵のオッパイは豊満で申し分なかった。しかし、アソコは反応しなかった。
「もう、志摩さんなんて大嫌い!」
ビンタして、梨絵は泣きながら出ていく。
「またかよ?」
bad★end
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