あっついわ。

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ジリジリと太陽が大地を照らし、コンクリートで返された熱は歩く人々を焼いていく。 少し木があれば、風流と言えばそれまでだが、耳障りな蝉の声が聞こえ。 ふと足元を見れば、熱に焼かれ干からびたミミズが居る。 季節は夏。 冷風を送ってくれるはずのクーラーが壊れ、ガタガタと音を鳴らす年季の入った扇風機が全力で風を回している蒸し暑い部屋で、一組の男女が丸いテーブルを挟み座っていた。 「夏なんてなくなればいいのに…」 二つに折れるアイスの片割れを食べながら、ノースリーブにホットパンツを着た女が言う。 その女の目の前に居る男が、同意だと言わんばかりに何度も頷き、その行為により暑さが増し汗が流れ出ている。 「でもさ…暑くないと、汗だくイチャラブできないよね」 「死ね」 アイスを咥え、テーブルに顎を乗せ女を見ながら言う男の言葉に、酷く短く言い返した女。 その言葉は冷たいものだったが、男はゾクッとしただけで、逆にそれは体温を上げていた。 「ヌービストビーチとかおにゃのこいっぱいなのかな」 「二度死ね」 欲望を隠さずにさらけ出す男に、女の冷たい言葉が刺さり男の体温を上げる。 そのやり取りにも体力を消費し、暑さと疲れが増し互いに沈黙してしまう。 「やっぱり、夏なんてなくなればいい」 突然呟いた男の言葉に、向かいで天井を見ていた女は視線を向けた。 「寒かったら、ぬくぬくイチャラブできる」 「冬だったらね…」 女の言葉に、男は目を輝かせ向かいに座る女を見つめた。 「暑苦しい視線を向けるな…暑くなるだろ」 一瞬目が合うと、女はスッと反らし言うが、男はニヤニヤとするばかり。 沈黙の間もそれは続き、耐え切れなくなった女が早々にアイスを食べ終え立ち上がり言った。 「プール、行くか」 その言葉を聞いた男は、ハッ!とした表情をすると高速でアイスを食べ終え、流れ出る汗を増加させながら準備を始めた。 押入れの奥から水着を引っ張りだして急いで準備する男を見ている女は、元からそのつもりだったのか既に準備が終わっていた。 「水着はどうするん?」 「…新しいの買ってある」 テーブルで頬杖をついて男を見ていた女は、振り返った男から目線を外しながら少し小さい声で言った。 それを聞いて、本当に嬉しそうな笑みを浮かべた男はもっと急いで準備をしながら言った。 「やっぱ、夏もいいな!」
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