理想

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 なんで誰が見ても魅力的な彼女が、俺の奥さんになってくれたんだろうと、時々不思議に思い、不安になることさえある。 「……しわもさ、いいよね」 「え? しわ? 何の話?」  シミとかしわを異常に気にして、紫外線が嫌だからって「夏なんてなくなればいいのに」って、口癖のように言っていた彼女からそんな言葉を聞くことになるなんてな。  しわを認めるなんて、今までの彼女からしたらありえないことだ。なにかあったんだろうかと心配になった。 「あれ可愛いよ、ね……いいな」  さっきまでの熱い情事に疲れたのか、俺の隣でうとうとと微睡んでいたはずの彼女が急に呟いた。瞼が開いたり、閉じたりと、完全に目が覚めたわけではないらしいけれど、そんな姿が可愛くて堪らない。  そんな彼女をずっと見ていたくて、夢の世界へ旅立とうとするところを観察していたら、飛び出した何の脈絡もない言葉。    きっと彼女は寝惚けていて、すでに半分は夢の中なんだろう。だからこと、俺には何の話なのかさっぱり分からなかった。 「あれって?」  明らかに寝ぼけている彼女も可愛いなと思いながら、起こさないように頭をそっと撫でながら尋ねた。
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