【7】

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『今度』は一度で終わらなかった。  解約を盾に二度、三度と要求され、四度目の後でわたしは言った。 「お世話になりましたし、こうするのは嫌じゃないですけど、やっぱり奥様に申し訳ない気がするので……今日までにさせてもらえませんか。他に出来ることがあれば、なんでもさせてもらいますから」  一瞬、彼の表情に影がよぎった気がした。けど 「そうだね。いいよ。俺も、そろそろバレても困るし」 と彼は笑顔で言った。   「あの、倉見さん、だよね?――さんに話聞いて、俺も保険に入りたいんだけど」  彼の後輩に声をかけられたのは、その翌週だった。  わたしは、売られた。
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