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「……は?」
『それ』を着けている最中だった彼は、裸の背中を向けたまま言った。
「……ナンの話?」
「だから、最後」
「……そりゃ、……メーワクかけないように処理させてもらいますけどよ。俺は」
「……そうですか」
寝返りを打って壁の方を向くと、後ろで彼が言った。
「なんで今それを聞くんだよ」
「……何が常識だか、ちょっと分からなくなってたので」
失敗した。と、思った。
いくらなんでも、大概のことは許してくれそうなこの人の前でも、このタイミングでそれは無い。
これだから、可愛くないって言われるんだろう。若いのに使えないとか。別にそう思われなくてもいいし。この先も恋愛なんて縁が無いだろうし、するつもりもないけど。
ただ、この人には、……嫌われたくない……。
「ジョーシキってのは」
後ろで、彼が言った。
「必ずしもひとつじゃねえ。けど、誰かに嫌な思いさせて自分だけが気持ちいい常識なんて無えと思うぜ」
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