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「……え……?」
「ほら、こっち向け」
わたしを仰向けにして、彼は唇を重ねる。入り込んだ舌先にすぐに反応してしまうのは、もう条件反射のようで、心も、体も、この人にリアルタイムで作り変えられてる気がする。
唇を合わせたまま彼は少し体をずらすと、わたしの脚に触れた。人形の脚みたいに軽くそれをひらいて、わたしの芯を探る。
「っ……」
「さっきあれだけ馴らしたから大丈夫だと思うけど、痛かったら言えよ」
痛くはなかった。彼の指は、不思議なくらい簡単にわたしの中に入り込む。
「こら、締めんな」
「……知りません。……勝手になるんです」
そこがどうなってるか、自分でも分かる。海みたいに、この人を欲しがって飲み込もうとしている貪欲で我儘な自分が、そこに居る。
思わず自分から腰を浮かした時、何かが頬を伝った。一瞬なんだか分からなかったけれど。
「……椿田……さん」
「ん?」
「涙。……なんで、出るんですか」
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