【3】

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 どかっと彼がベッドに腰を下ろすと、背中側のスプリングが軋む。 「ていうか、その『嬢ちゃん』ってやめてくれます」 「じゃー、名前は?下の名前でいい」 「……すずこ」 「鳴る鈴か?」 「涼しいの方。りょうこに間違われるけど」 「そうか。じゃ、すずちゃんだな。……涼ちゃん、いくつだ」 「そういうのもいいです」 「おじさんはそういうの嫌なんだよな。……いや、風俗行ってそんな身の上話聞くのはヤボだけど、これ、風俗じゃねぇし。なんつーか、どうせするならちゃんと名前あって年数生きてきた、生身のあんた抱きてぇからな」  その言葉は、それまでのふざけた調子じゃなかった。 「22」 「ぅわ。……ほぼ半分かよ。予想してたけど」 「そっちは?」 「41、ってさっき言ったろ」 「名前」 「あー……下は好きじゃねえからいいわ。椿田」 「……椿って、あの花の?」  布団から、目から上だけ出したわたしに彼は振り返って言った。 「他に何がある。唾吐く方の唾なワケねぇだろ」 「分かるけど一応言っただけじゃないですか……」
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