【4】

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 どれくらいそうしていたんだろう。  多分、ものの一、二分くらいのことなのだけど、背中から抱かれて、何もせずただ肌を触れ合わせていると、不思議な感じがしてくる。  お互いの体温やいろいろが滲み出して溶け合うような、別の個体なのに通じ合ってるような感覚。じわりと体の奥に火が灯る。  ……こういう感じ。初めてかもしれない。  前の時は、何しろ相手のペースで、好き勝手にいじくり回されて。  『休憩』時間内に、やりたいこと、やらせたいこと全部済ませないと損。と、相手が思ってるのが見え見えで、こんな静かな時間は無かった。 「――――おい。……起きてっか。涼ちゃん」  耳元で声がして、わたしは『今』に戻る。 「起きてます。……落ち着いたんですか?」 「あー、まぁな。……で、あんたマジで俺とするつもり、あんのか?」 「……はい?」  抱かれたまま、顔だけ振り返ったわたしに彼は言った。 「やっぱり止める、ってんなら、それでいい。もともと金貰う気もねぇし」
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