四章 呪われた村

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「じゃあ、そのときは、すぐに鎮まったのか?」 「あのときは、リヒトが塚にさわって、封じた」 そう言えば、ハルナが言ってた。 肝試しの夜、塚から出てきた黒い影は、リヒトの体に吸いこまれるように消えたと。 ユキは、たずねた。 「リヒトくんが、さきに依りましになったから、戸神くんは犬神に憑依されずにすんだの? だって、あの夜、戸神くんも、さわったよね?」 「あのとき、おれは塚の近くに倒れた。けど、さわりはしなかったんだ。倒れたときの衝撃で、塚がグラついて」 「ふうん……」 なんとなく、納得できない。 が、リヒトが犬神だと言われたショックが、まだ続いてる。 (あれ? でも、変。坂上家で見た、あの目。あれって犬神だよね。あのとき、リヒトは、どこにいたっけ?) たしか、外で物音がして、リヒトが見に行った。その直後、ユキは屋根裏から、のぞく目に気づいた。ユキの悲鳴でリヒトが帰ってきたときには、双眸は消えていた。 いちおう、つじつまはあう。 最初の物音さえ、何かの聞きまちがいだとすれば。 ぼんやり考えていると、玲一が言った。 「リヒトに会ったと言ったろ? たのむ。あいつを始末したいんだ。協力してほしい」 助けてほしいというのは、そういう意味のようだ。
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