0人が本棚に入れています
本棚に追加
洋一、守政、周防が去った読日テレビ直ぐの路上。
テレビ局に警察が集まった事で、興味が湧いた多くの野次馬達に紛れて、一際美しく、男の視線を釘付けにする魅力的な唇と大きな胸に、前髪と後ろ髪を一つに纏めてバレッタで止めた女性がいた。
現在、岩動都知事の秘書であり、壱岐八咫会の幹部。讃岐地 雀[サヌキジ スズメ]だ。
彼女は、漆黒に鳥の模様が描かれたスマホを右耳に当てながら、警察達に囲まれて規制されている読日テレビのビルを見つめ、とても優しい微笑みを浮かべていた。
「空真、夜遅くにごめんなさい」
『気にすンなよ、姉貴。ンで、何かあったのか?』
「えぇ。とても良い情報が手に入りまして。
しかも、空真、貴方にとっては、とても良い事なのですよ」
『へえ。それは、どんな事なんだ?』
空真の促すような質問に、雀はふわりと微笑んで読日テレビ隣の屋上を見ると、其処にいた人影を見て妖艶に嗤った。
“飼い猫”達が、其処にいるのだ。
最初のコメントを投稿しよう!