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「はい。テレビ局職員に紛れ込んでいまして。奴から聞き出した情報によると、岩動都知事の秘書に、八咫会幹部・讃岐地 雀がいるという事なんです」
「ははーん。八咫会幹部なあ……。大金目当てに引っ付いた可能性が、遥かに高いと見えるな」
守政の報告に、檜原が腕を胸の前で組んで、二回程納得して頷く。
「檜原さん。それとなんですけど、“ヴァンプ”と名乗る男が、インカムの電波を乗っ取って、俺に話し掛けてきました」
「ヴァンプ?」
「はい」
檜原が、眉間に皺を寄せながら洋一を見つめ、洋一は、彼と目を合わせたまま小さく頷いた。
すると彼は、少し思考するように正面を見つめると、軽く息を吐き出して再び洋一を見た。
「わかった。讃岐地って女を調べるついでに、そいつの事も調べるよう石見に伝えておくぜ。
もう、夜も遅い。兼城、相模、周防。お前らはもう寝ろ。俺はもう少し、この件について、どうしていくか考えておくからよ」
「わかりました」
「ねえ、リーダー。郡上くんは何処行ったの?」
洋一が頷いている隣で、周防が、辺りをキョロキョロと見回しながら檜原に問い掛けた。
「郡上なら、カミさんに怒られると言って、とっくに帰ったぞ。
だから、さっさと寝んか、この馬鹿たれがッ!今後の活動が練れんわッ!」
檜原が怒鳴りながら立ち上がると、洋一達三人は、瞬く間に顔を青くして、この場から逃げるように階段を上がり、直ぐ様各自の部屋に入って、急いでドアを閉めた。
バタンッ!
一人だけになり、静かになったリビング。
檜原は、ソファーに座って再び腕を組み、じっと正面を見つめると、軽く息を吐き出して声を出した。
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