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「森泉。何時まで其処に隠れてるつもりだ?」
「あら、ヒノちゃん。やっぱり、俺が居るのが分かっちゃったの?」
ひょこっと、カウンターキッチンから顔を出す森泉に、檜原は溜め息を吐き出して、キッチンの方へ体ごと振り向くと、呆れた顔をして彼を見つめた。
「当たり前だ、たわけ。お前の気配なんざ、嫌というくらいに判るんだよ」
「んもう。照れちゃうこと言っちゃって♪俺は、ちゃんと気配を消したつもりだったんだよ?」
森泉が、少しニヤニヤと笑いながら檜原のもとへと歩み寄り、檜原は、そんな彼を呆れ果てた顔をして見ると、ソファーのクッションの下から白いファイルを取り出し、それを開いた。
「ところでだが。森泉、そろそろ溜まった色欲を発散しないか?」
「ヤダ、ヒノちゃんってば!そんなに俺とやりたいの?!」
森泉が、染まった両頬に手を当てて、乙女のように目をパチクリさせる。
すると、檜原は、眉間の皺を3割増しで彼をジトリと見据え、白いファイルを丸めて振り上げた。
「ゴメン。ゴメンって。冗談だよ。
檜原がそれを俺に聞くってことは、つまり、俺に、徹底的に聞き出してこいってことだろ?」
「あぁ」
檜原は、森泉を見つめて鼻で小さく笑うと、手にしていたファイルを下ろして再び開き、其処に挟んでいる資料を森泉に見せた。
「森泉、こいつを見てくれ。
こいつは、八咫会の屈強な男でありながら相当のゲイで、数多の男達を攻め落としてきた奴だ」
「へえ。かなりのタチか。んで、その男に目を付けた理由は?」
「さっき、兼城達の会話から出た、八咫会幹部・讃岐地と、同じ立場だからだ」
「へ~~え」
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