ラストクリスマス

32/42
前へ
/42ページ
次へ
さすがに三杯目のコ-ヒ-を頼むのはと思い、また時の広場に戻って、瑠実を待とうと決めた。俺は伝票をつかむと、店のレジへと向かう。会計を待っている時、ふと窓の外に視線を移すと、店頭のケーキを買っている親子連れが見えた。 店の外に出ると、相変わらず雪が降っていて、電灯の光に淡く照らされている。 先程の親子がケーキを買ったようで、赤いマフラーを巻いた小さな女の子が、白い箱を持っていた。 「真紀ちゃん。ケーキが崩れちゃうから、ゆっくり歩きなさいよ」 女の子に注意する母親。 でも、女の子はケーキを買ってもらったのが嬉しいらしく、はしゃいでいる。 「もう、真紀ちゃん。ゆっくり、ゆっくりよ」 母親がもう一度そう言った時。 道路の向こうから、一台の乗用車が走ってくるのが見えた。
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

104人が本棚に入れています
本棚に追加