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さすがに三杯目のコ-ヒ-を頼むのはと思い、また時の広場に戻って、瑠実を待とうと決めた。俺は伝票をつかむと、店のレジへと向かう。会計を待っている時、ふと窓の外に視線を移すと、店頭のケーキを買っている親子連れが見えた。
店の外に出ると、相変わらず雪が降っていて、電灯の光に淡く照らされている。
先程の親子がケーキを買ったようで、赤いマフラーを巻いた小さな女の子が、白い箱を持っていた。
「真紀ちゃん。ケーキが崩れちゃうから、ゆっくり歩きなさいよ」
女の子に注意する母親。
でも、女の子はケーキを買ってもらったのが嬉しいらしく、はしゃいでいる。
「もう、真紀ちゃん。ゆっくり、ゆっくりよ」
母親がもう一度そう言った時。
道路の向こうから、一台の乗用車が走ってくるのが見えた。
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