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ほどよく暖かい部屋の中、書斎の机の上で、うたた寝をしていた。
窓の外では雪が降っている。
きっと街中では、楽しげに溢れる人に、クリスマスソングが流れ、イルミネーションが美しく輝いているのだろう。
部屋の向こうから、ゆっくりと階段を上がってくる足音がする。
そして、ドアが開いた。
重ねた腕から顔を上げ、立ち上がり振り返ると、妻が立っている。
「あなた、ご飯が出来たから、一緒に食べましょう」
「ああ」
俺は妻に歩み寄る。
そして、どちらからともなく、お互いの唇を重ねた。
書斎の机の上には、一枚の写真立て。
写真に写るのは、タキシード姿の俺と、純白のウエディングドレスの妻。
写真に刻まれた日付は、
『2021 12 24』
それは、お互い別々に歩んで来た俺と妻の。
最後のクリスマス。
新しく二人で歩むための。
大切なラストクリスマス。
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