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その後も、彼女を待ち続けたが現れない。広場の時計は、9時45分を指していた。雪が降るだけあって、気温がだいぶ下がってきた。
買った缶コ-ヒ-は、とっくに冷めて、握る手に伝わるのは硬質な冷たさだけだ。
(少しだけ温まりたい)
どこか店に入ろうと、駅前を歩いてみたが、イブということもあり、どこも一杯だった。仕方なく、駅前を離れて、薄暗い細道に入っていく。
5分程歩くと、レトロな外観の小さなケーキ店があった。店頭の硝子ケースには、カットされたものやホールのケーキが並んでいる。店内は喫茶店になっているようで、窓から中を覗くと、空席が見えた。
ドアを開けると、照明を押さえた店内に入る。
窓際の席に案内され座ると、茶色の革製のメニュ-を広げた。店頭でケーキを売っているだけあって、様々なケーキが載っている。
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