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これは、もしかして……。
瑠実が辿るはずだった過去?
それが今、俺の目の前で起こっているのか?
そう気づいた時には、もう女の子のすぐ側まで車が迫っていた。
相変わらず女の子は、恐怖に目を見開いたまま、逃げ出す気配がない。
俺は、全速力で女の子の方へと駆け出す。
(もし、ここで俺がこの子を助ければ)
瑠実が死んでしまった過去を塗り替えられるんじゃないか……?
そのために、俺が犠牲になり。
彼女に二度と会えないのだとしても……。
俺は恐怖で立ち尽くしたままの女の子の側に駆け寄り、肩に手を伸ばす。
そして、かつて瑠実がしたように、思い切り小さな肩を突き飛ばした。
間近で闇を照らすヘッドライトに目を細める。
眩しさに目を腕で覆った。
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