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「瑠実」
「なあに、一哉?」
俺は、瑠実の肩から両手を離すと、右手に持っているワインレッドの小さな袋を見せた。
「これは……?」
瑠実の淡い茶色の瞳が、小さなプレゼントを映す。
俺は、袋から純白の小箱を取り出すと、彼女の手に渡した。
「開けてみて」
俺の言葉に、瑠実がゆっくりと小箱を開け、その中から純白のケースを取り出す。
彼女の瞳が見開いた。
「瑠実……君を守りたい。これから、ずっと」
もう二度と、失いたくない。
瑠実の手からケースをそっと取ると、その中央で、イルミネーションを反射して煌めくダイヤの指輪を抜き取った。
そして、ゆっくりと彼女の細い指に通す。
「この広場の近くに、教会があるよな?そこで、一年後のクリスマス・イヴに……」
瑠実の淡い茶色の瞳を見つめたまま言った。
「結婚しよう」
時の広場に溢れる、色とりどりの光が映って、まるで宝石のように綺麗な瑠実の瞳。
彼女は、その煌めく宝石に涙の雫をたたえながら、ゆっくりと頷く。
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