淡い海

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あれから十年。 僕は大学生になった。 長期の休みにしか実家には戻れないが、 「大輝ー! これお願い」 夏休みの間は民宿の手伝いをしている。 短い休憩時間をもらうと、毎回浜辺へと行く。 あれから友達や仲間も出来、毎年楽しい夏が過ごせている。 あの時の彼女と同い年になって初めて、何気ない優しさを普通に出来ていた事に感服する。 彼女にはあれから一度も会ってない。 「彼女どこで何してるんだろうな」 そう呟くと、 「夏を楽しんでるに決まってるでしょ」 潮風に乗って、波の音と彼女の声が僕を優しく包んでくれた。
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