『僕は君の名を呼ぶ』

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「丼池君、この建物の駐車場側にドアを持って来よう。そうすれば、バスも気にならないし、ドアも外に開ける」  階段の下あたりに。出入口を持ってくることになるが、どうにかなりそうだ。 「そうですね、階段も少し変えれば、どうにかなります」  何より、ドアを開けたら道路ではなくなる。  線路側と、寺社の駐車場側の窓を少なくする代わりに、横の窓を大きくする。  人の不快という思いは、溜まり澱む。ドアを開き、自転車などにぶつかりそうになったり、通行者にぶつかり謝る。相手に文句を言われるなどが澱むと、そこには死というものがやってくる。そんな些細なことでも、積もれば死にたくなるのだ。  二階に上がると、そこは何に使用されていたのか、さっぱり分からなかった。何も置いていない。窓から光だけが射していた。三階も同様で、何も置いていなかった。  屋上まで登ってみると、コンクリートが剥き出しの屋上には、水溜まりがあった。 「これではダメ。水溜まりは家が腐る。ここは何にしようか?」  和める場所にしたいものだ。 「美奈代さんに設計してもらいましょう。美奈代さん、天井の雨漏り防止をする森なんてものを造っていましたから」  想像できない。 「では、丼池君。部屋の案と工事の見積もりをお願い。大切な遊部君を守る建物を主軸に考えるようにすれば、全員守れる。昴君も手伝ってあげてね」  女性達は、警察官に戻っていた。水早は、どこかに消えている。 「遊部君。君は社員であるからね。俺もだけど。儀場からの命令で、俺達は生葬社が再開するまでの間、ここで場所は言えないけど、島に行っていろと言われている」 「島?」  日本も小さな島国ではあるが、日本列島というように、無数の島がある。 「そう。そこで事故死が続いていて、原因を特定してくる。向こうに協力者がいてね、俺は民宿の手伝いに来たという名目で、遊部君は陶芸家に弟子入りね」 「昂は眠ってしまいませんか?」  幾日、行く事になるのだろう。 「そうだね。でも、バイトを連れて行くことが許可されなかった。丼池君、昴君、遊部君の従兄弟と名乗って、遊びに来るのは、俺は止められないよ」  でも、丼池には、生葬社の建物を任せたいらしい。
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