第四章 赤い花 白い花

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 人は半分以上水で出来ている。だから、水を操る生き物であった。 死んでも、水の傍ならば、何かが残っていてもおかしくはない。 水を操っているのが、何であるのか、分かっていないのだから。 水は皮膚の下の水分というだけと言う人もいるが、 ただ袋に入っただけの水とは動きが違う気がする。  屋上には水が無かった。花火は火の塊に近い。  どうして幽霊は、花火を見ているのであろうか。 「花火を見ているのは、何故でしょうか?」  花火は広範囲で見えるので、 他でも幽霊が花火を見ているスポットがあるのだろうか。 「浄化の願いかな。色んな理由をつけても、俺は花火を見るのが好きでね。 近くもいいけど、遠くの花火も好きだよね。 燃えて消えるところがいいのかな……」  俺は、花火が、消えて何も残らないけど、 人が記憶に必死に留めようとするところがいい。
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