第四章 赤い花 白い花

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「俺、死んでいるよね?高い所に行かないといけないよね。 だから、屋上に行って、だから花火に乗っていけたらいいよね」  声が聞こえていた。 そうなのか、高い所に行かないといけないのか。 でも、多分それは、 異物(インプラント)が宇宙に戻ろうとしているせいなのではないのか。 遠く、遠くに帰らなくてはいけないという、使命感が残っているのではないか。 「帖佐さん、仕事ですよね。少年、ここに残ってください!」  命令すると、ポトリと音がした。 帖佐の時計から金属片が落ちたが、時計の部品ではなかった。 「あ、異物(インプラント)だ……」  話をするだけで、異物(インプラント)が自分から取れるということもあるのか。
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