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「姉さん!糸引っ張ってるけど、どうやれば上手く巻きつけられる?」
「私に聞かないでよ!まだ一回しか見てな……」
糸でまごついてる間にカマキリが襲いかかってきたので、妹は柏餅を出し糸代わりにし引っ張って次々と投げ始めている。
「私はこっちに変更する、この方が慣れてるし練習してたら死にそうだもん」
動きは封じているものの、ネチャネチャしているのか青刺繍とは違い、敵がゾンビみたいに動きが不気味になっただけ。
「ちょっと!柏餅じゃ逃げられるんじゃないの?」
「敵を減らせば文句ないんでしょうが!姉さんは草刈り機を出して、首狩っていけばいーよ」
作戦とは違うが敵の数も多く、すぐ稲糸を使えそうにないので、言われた通り双棒を握ると針金の武器を変形し回転させた。
ウチのドラム缶のアドバイス通りカマキリの後ろ側に回り、柏餅を付けた敵の背後から攻撃していく。
針金の刃が当たると消滅して行き、成功かもと思っていたが、次々と出てくる敵に動きが間に合いそうにない。
「こんな上品な事してたらキリない、姉さん前に回って敵を引きつけて!」
「えっどこが前?四方八方から来てるんだけど」
田村さんも稲糸で封じた敵を消滅させ始めていて、リーダーも同じように双棒を握っているが、それでも捌ききれない位増える一方だった。
「姉さん、もう奥の手で行こうか」
双棒からパチンコのような道具を出している。
練習では出なかったのに、本番でシレッと出す妹を呆気に取られて見ると、田村さんに向かって声をかけていた。
「田村さ――ん、伏せて下さい!」
私も双棒を握りながら意識を集中させると、練習の時に出た『く』の字が姿を表す。
今日はスムーズに外れるばかりでなく二本に増え、狙いを定めて構えると順番にブーメランを投げていった。
妹は近場のカマキリに向かってパチンコ玉のように柏餅を飛ばしている。
ブーメランは弧を描いて、カマキリの背後から首だけを綺麗に狩り、当たった敵は次々と灰に変わっていく。
「おぉ、作戦上手くいってるね!」
妹はゴムを伸ばしてパチンコ……いや、柏餅の小さな玉を飛ばして灰にしていた。
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