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「これはお土産なんですが……瑠里さんには人気のドッグドーナツで、社長はラッピ―のニューシングルです」
お土産にアッサリ釣られたキツネ達は、先程の態度とは全く違い嬉しそうな顔で受け取っている。
「昨日、身の回りの物取りに帰ったからついでに手に入れといたんだぁ」
見事にキツネを操るワオンさんは力強い味方になりそうだし、すぐに床に座って質問を始め、彼もきちんと聞いてくれた。
犬螺眼は危機察知能力に優れていて尚且つ、感情にも左右される事が多く、それは破壊力にも関係してくるらしい。
事実私の場合『怒り』や『開き直った時』に出ている気がする。
元々犬は相手を倒す時に、首元や腹周りを引き裂いたりするので、それが極端な形で出ているようだ。
コントロールするには自分が強くなる事に加えて、常に冷静な心で居る事が必要。
攻撃の時は『切る』ようなイメージを持つとあんな残虐なシーンを見る機会が減るらしい。
「難しいな……今までは咄嗟だったし、怒りがマックスで感情をコントロールなんてしてなかった」
「でしょうね、慣れていけばこれほど強い武器はないですよ……ってこれオヤジの受け売りですけど」
「照ちゃん使えてたんですか!?」
思わず社長の方を向き『どうなんだ』という目をすると、渋々頷いたが気に入らない様子だった。
「少しの間だけじゃ、凱の前のトップに気まぐれで使えるようにされただけで、ワシの方が素質あるのに納得いかんかったがの」
「照ちゃん使っとったなら早く言えやジジイ」
「あんなの使えた内に入らんわい」
プイッと顔を逸らせたキツネは、自分が使えなかったのがよっぽど悔しいみたいだ。
「今は父も使えませんけどね、イザリ屋を引退してるんで」
「ですよね、ワオンさんは持ってないんですか?」
「イザリ眼は使えるらしいので資格はあるようですが、凱に気に入られないと無理ですね」
ワオンさんなら名前からして……と言っても勝手に呼んでるだけだが、犬人間に気に入られそうな予感もする。
おまけにイザリ屋に入り既に刺繍も持ってるとなると、私なんかより全然強い気がしていた。
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