青刺繍の応援

3/20
75人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
「タイミングさえ分かれば、鎌を封じなくても直接攻撃できるかも!」 要領を得た妹は基本ゲーマーなので勘が良く、器用に敵を消滅させていった。 私は近づいて来る敵に防御の壁『稲膜』を張りつつ、敵を倒し続けているブーメランの帰りを待っている。 「凄いね、ブーメランはオートマ?勝手に倒してくれてる」 「う……うん、仕事熱心みたい」 田村さんは近くに寄って来ると、腹を抱えて笑っていた。 「お・ま・え・ら――っ!俺にも声かけろや、巻き込まれるトコだろが!」 すっかり忘れていたが、ウチのリーダーもブーメランとパチンコ攻撃から逃れ、怒りながら近づいて来た。 「プッ、ホント毎回驚かせてくれる姉妹ですね、いつの間にそんな技出せるようになったんです?」 「……つい何日か前です」 地面の敵がほぼ居なくなるとブーメランは勢いを緩め双棒に戻って来たが、今回は動揺する事はなく針金になっていくのを冷静に見ていた。 空中の方も静かになってきて、救護班の人が薬で巣を消滅させ始めている。 ウチでは啄がその役だが、青刺繍の人はスラッとしてるだけあって動きも機敏に見えた。 噂通り化け物並みの強さだねと樹さんが近くに来て、感心するように私達を交互に見る。 「あとはボス二匹と護衛だけど、姿を現さないから手分けして探そう、人型だけどかなり強いから見つけたら合図して」 渡されたのは小さなバッチというか青色の稲のマークのブローチで、押すと青い光を放っていた。 「押したら飛んで行くけど、押す暇がない時は叫んでもらったら駆けつける」 頼りになりそうだが、嫌な予感もする。 結局叫ぶような事にならなければいいがと、ビクビクしながら胸にブローチをつけてみた。 青刺繍チームがその場を離れると、田村さんは辺りを見回しながらどのルートを探すか考えているようだ。 妹が後ろに向かって歩き出したので、視線をやると田村さんに背中をバンッと押され、草むらに思いっきり倒れ込んだ。 顔を上げると田村さんのつなぎは破れて腕が血で滲んでいる。 リーダーも妹もハッとして、すぐにしゃがんだが次の瞬間、田村さんは勢いよく何かに引きずられ暗闇に消えてしまった。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!