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「タイミングさえ分かれば、鎌を封じなくても直接攻撃できるかも!」
要領を得た妹は基本ゲーマーなので勘が良く、器用に敵を消滅させていった。
私は近づいて来る敵に防御の壁『稲膜』を張りつつ、敵を倒し続けているブーメランの帰りを待っている。
「凄いね、ブーメランはオートマ?勝手に倒してくれてる」
「う……うん、仕事熱心みたい」
田村さんは近くに寄って来ると、腹を抱えて笑っていた。
「お・ま・え・ら――っ!俺にも声かけろや、巻き込まれるトコだろが!」
すっかり忘れていたが、ウチのリーダーもブーメランとパチンコ攻撃から逃れ、怒りながら近づいて来た。
「プッ、ホント毎回驚かせてくれる姉妹ですね、いつの間にそんな技出せるようになったんです?」
「……つい何日か前です」
地面の敵がほぼ居なくなるとブーメランは勢いを緩め双棒に戻って来たが、今回は動揺する事はなく針金になっていくのを冷静に見ていた。
空中の方も静かになってきて、救護班の人が薬で巣を消滅させ始めている。
ウチでは啄がその役だが、青刺繍の人はスラッとしてるだけあって動きも機敏に見えた。
噂通り化け物並みの強さだねと樹さんが近くに来て、感心するように私達を交互に見る。
「あとはボス二匹と護衛だけど、姿を現さないから手分けして探そう、人型だけどかなり強いから見つけたら合図して」
渡されたのは小さなバッチというか青色の稲のマークのブローチで、押すと青い光を放っていた。
「押したら飛んで行くけど、押す暇がない時は叫んでもらったら駆けつける」
頼りになりそうだが、嫌な予感もする。
結局叫ぶような事にならなければいいがと、ビクビクしながら胸にブローチをつけてみた。
青刺繍チームがその場を離れると、田村さんは辺りを見回しながらどのルートを探すか考えているようだ。
妹が後ろに向かって歩き出したので、視線をやると田村さんに背中をバンッと押され、草むらに思いっきり倒れ込んだ。
顔を上げると田村さんのつなぎは破れて腕が血で滲んでいる。
リーダーも妹もハッとして、すぐにしゃがんだが次の瞬間、田村さんは勢いよく何かに引きずられ暗闇に消えてしまった。
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