別れと出会い

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「――グォッ!」 切り落とされた腕はそのまま地面に転がり、もう片方の腕で押さえながら苦しい表情を見せている。 「お前……何者だ」 鎌イタチの動きは俊敏だったが手に取るように見え、むしろ余裕があった。 「お前に名乗る名などない!でもジジイの孫の腕を切り落としたり背後から攻撃したり……やり方汚ねーんだよっ!」 拳を握り殴りつけると、それだけでも鈍い音をさせ地面に叩きつける事が出来ていた。 仕上げに双棒を握って針金を出し、攻撃するといつものように灰となって散っていく。 深呼吸で気持ちを落ちつかせると、血の匂いはまだするものの殺気立った気配は完全に消えていた。 「血の匂いでコイツの気配に気付けなかったのは最大の課題だね……って瑠里?!」 さっきまで居た筈の妹達の姿がなく、キョロキョロ探すと地面で伏せた状態で、顔だけ少し上げこちらを見ていた。 「どうしたの?」 「ちょっとヤバくない今の?捌きが下ったよ、私ら巻き込まれないよう必死だったわ」 「イザリ屋の凄さに改めて感心してしもうた、魔王がおるとは聞いてなかったんでな」 このパターンは違う世界でも存在するんだと呆れた顔で地面に腰を下ろし 、リュックの中のあんぱんを探り始めた。 気づけばワオンさんも近くにいて、引きつった顔を見せながら隣に座っている。 「お腹空いたんでパン食べますわ、因みにワオンさんは何パンなんです?」 「クロワッサン……ですが今は食欲なくて」 「兄さん顔に傷が出来とるの、これ塗ったらすぐに消えるぞ」 「ちょっ、爺さん血生臭いからあっちに行って!」 せっかくのお食事が匂いのせいで吐き気を伴いそうだ。 「おっとすまんの、でもまさかあいつを倒すのが人間のお嬢さんだとは夢にも思わんかった」 勝手に話を始めた爺さんが頭巾を外すと、血まみれになったイタチの顔が露わになり、黙ってタオルを取り出し投げてやった。 「それが仕事なもんで……てか誰?お腹の虫の音が響いてない?」 瑠里がカレーパンを食べながらそう言うと、タオルで拭き終わった爺さんがゆっくりと手を挙げた。
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