青刺繍の応援

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「田村さ――んっ!」 大声で叫び立ち上がろうとすると、リーダーが動くなとキツイ声で制止した。 しゃがみながら気配を探ろうと必死になったが、動揺しているのか全く集中できない。 「敵の手中にある、下手に動くと皆殺しにされるぞ」 唯一この中で落ち着いてるリーダーだが、額からは汗が出て双棒を握っている手は、かなり力がこもっているようだ。 「こんな事してる内に、田村さんが殺されたらどうするんですか!」 妹が噛みつくように声をあげたが、リーダーは無言で周囲を警戒したままだ。 「うるさいっ、姿を現さないと話にならねーんだよ!文句言う前に気配を探れ!」 『田村さん!無事でいてっ!』 ギュッと目を瞑り意識を集中させていると、少し離れた木の上から、気配を感じるような気がした。 目を凝らして見てみるが、暗くて遠いので姿を確認する事は出来ない。 「リーダー、敵はどの位いるんですか?」 「ボス二体と……手下はどうかな、よく分からん」 ブローチのボタンを押し、気配がする方向を凝視していたが、妹も隣で同じ方向を見ている。 「怨念みたいな殺気を感じる……相当怒ってる気がしない?」 「瑠里も分かる?執念深そうだな、田村さん危険だよこれは」 一応ブローチでサインは送ったが、ただならぬ殺気を感じスクッと立ち上がると歩き出した。 「お前ら、勝手に動くなって!」 リーダーが止めに入るが、私達はお構いなしに歩き続けた。 「ブルー達来ないね、アイツらも誰か掴まってんじゃない?このオモチャ押しても全く意味ないし」 歩く速度を少しずつ早め終いには小走りになったが、複数生えてる木の中で、一段と太くて高い木の近くまで来ると妹は声を張り上げた。 「田村さんを返せ――っ!」 風も吹いてないのに枝が少し揺れた気がするが、敵に囲まれてるとか関係なく、堂々と大きい声を出す妹に嫌な汗が出そうだ。 「……武器を捨てろ…雑魚共、こいつの腕を引きちぎって投げるぞ」 暗闇の中で不気味に響く声がすると、言われた通り双棒を手前に投げ捨てた。
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