青刺繍の応援

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「たぁ~むらさんを……はなせぇぇ…」 不気味な声が聞こえて振り向くと、妹が鎌のような刃物を両手に持ち、後ろを歩いている。 『えっ、その武器何処から持ってきたの』 自力で糸を引きちぎり、私よりも気味が悪い声を出す瑠里は、ちょっと引く位の怖さが漂っていた、 蛇並みの執念深さを持つ妹を怒らすと、地獄の果てまでも追われそうな気がした。 「よくもお前ら!こうなればコイツらごと始末してや……」 カマキリが最後まで話す事なく、妹が犬並みの速さで飛びかかり、両手の二本の鎌でバッサリと首を飛ばしていた。 それからも後ろの敵を次々を倒しているのか、『バシュッ、ゴスッ』と不気味な音だけが響き、静かになった所で妹が姿を現した。 田村さんの傍に駆け寄ると、目を開けて口元を少し上げてくれている。 ワラワラと引きつった顔の青刺繍達とリーダーの姿が見えると、キッと睨んで怒鳴り声を上げた。 「救護のヤツ早くこいやっ!田村さん怪我しとるやろがっ!」 「は……はいっ!」 慌てて駆けつけた救護役が手当をしてる間、リーダーと樹さんは、私達が始末したカマキリを双棒を使って消滅させていた。 「姉さんの犬螺眼凄いね、化け物だよ」 「瑠里こそ……その力、凱のお守りなんでしょ?」 「うん、こっちの方が気に入ったかも。犬並みに早く走れるし、なんだかカッコいい武器まで使えるようになって」 妹はイザリ眼を使えないからか、目の色が金色に変わる事もなく、素早く動けて逆に羨ましい位だ。 「般若っていうか、もう鬼みたいに見えたよ、今度からは『鬼百合』に改名した方がいいかな?」 「どっちも嫌だわ!でも田村さん助かってホント良かったぁ」 青刺繍が後処理をしてくれてる間、地面に座り黙って様子を見ていたが、今回も死にそうな目に合ったが何とか終わりを迎えれそうだ。 田村さんがこちらに歩いて来ると、姉妹で抱きつき、私はウルウルと涙腺が緩みだした。 「田村さん、良かったぁ……かばってもらってごめんなさい!」 「こちらこそ有難う、意識が飛んで稲膜も使えなかったので助かりました。さあ戻りましょう」 田村さんが私達の肩に手を乗せると、樹さんが従業員証でドアを出し、ゾロゾロと皆でパネル部屋に帰った。
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