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青刺繍の応援
青刺繍のリーダーのみ先に進み、私達と同じように依頼人と待ち合わせのようだ。
全員でゾロゾロと向かっても目立つだけなので、木陰から息を潜めて様子を伺っていると、想像通りカマキリの顔だけを持つ人型だった。
樹さんは小声で何やら話をし、依頼主が立ち去ると皆に『来い』を合図を送る。
青刺繍と無色のチームは、それぞれ彼の後に続き、木の間を縫って歩きカマキリの巣を目指した。
全体が見渡せる辺りまで来ると、みんなしゃがんで敵から姿が見えないよう集まったが、何となく遠くの辺りを飛んでいるカマキリを発見した。
羽根を広げ、トレーニングの影より不気味さにリアリティが出ている。
「俺らは飛んでる奴を始末して回り、ボスも狙うが、いきなり出没する可能性もあるから用心するように。百合ちゃん達よく見ててね」
稲糸の使い方が分からない私達に見本を示してくれるのかもしれない。
樹さんと青刺繍のメンバー四人が木の上に登り、私達は下から様子を伺っていた。
誰かがキラッとした光を一瞬出すと、それまではのんびりと飛んでいたカマキリが、こちらに向かって一斉に集まり始めた。
「こ……怖っ!」
二十匹位の大きなカマキリは迫力があって、思わず木の陰にピタッと張り付いてしまう。
目だけは上を向けお手本を見逃すまいとしっかり注目すると、二人が稲糸を次々と投げ、残りは双棒で仕留めて行く。
動きに無駄がなく、息もピッタリであっと言う間に消滅してしまった。
「あんなの……無理だよ」
自信をなくす私達に、田村さんは稲糸を準備する。
「やってみるしかありません、もう敵が沢山いますからね」
その声で正面を見ると、空中とは比にならない大量のカマキリが私達を包囲していた。
「――げっ!メチャ多いじゃん!」
妹がそう言ってる間に田村さんは次々と稲糸で鎌を封じて行き、ウチのリーダーも同じように稲糸を器用に使っていた。
私達も仕方なく木の陰から出たが、後ろにもカマキリが沢山いて、練習なんてしてる時間はなさそうだった。
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