307人が本棚に入れています
本棚に追加
/185ページ
「はぁー....」
主のいなくなった部屋で、俺は重く息を吐いた。
......わかってたんだよ。
ギルに会えば、あの話がでるって。
暗雲とした気分になりながらも、俺はさっきギルに問われたことを思いだす。
『......いつまで隠しているつもりなんだ?』
俺の答えはもう知っているはずなのに。
ギルは何度も、何度も問いかけるんだ。
俺の決意が変わっていることを祈って......
でもね、ギル。
これだけは、何があっても変えられないんだよ。
『........ずっとだよ』
願うならば、永遠に。
この秘密がバレないように。
──けっして、リュークに知られないように。
俺の確固たる意志を感じたのか、ギルはそれ以上何も言わなかった。ただ一言言い残して、ギルは部屋を出でいった。
『レイ、これだけは覚えておけ。
────お前は悪くない』
「......悪くないなんて、なんで言えるの......」
俺が、俺がリュークを捨てたのに....
自分の顔を思い出せないように、認識障害までかけて。
自分のエゴですべてを振り切って。
何もかも捨てて。
俺はたった一人の......たった一人の最愛の弟を捨てたんだっ......
最初のコメントを投稿しよう!