秘密

7/17
307人が本棚に入れています
本棚に追加
/185ページ
「はぁー....」 主のいなくなった部屋で、俺は重く息を吐いた。 ......わかってたんだよ。 ギルに会えば、あの話がでるって。 暗雲とした気分になりながらも、俺はさっきギルに問われたことを思いだす。 『......いつまで隠しているつもりなんだ?』 俺の答えはもう知っているはずなのに。 ギルは何度も、何度も問いかけるんだ。 俺の決意が変わっていることを祈って...... でもね、ギル。 これだけは、何があっても変えられないんだよ。 『........ずっとだよ』 願うならば、永遠に。 この秘密がバレないように。 ──けっして、リュークに知られないように。 俺の確固たる意志を感じたのか、ギルはそれ以上何も言わなかった。ただ一言言い残して、ギルは部屋を出でいった。 『レイ、これだけは覚えておけ。 ────お前は悪くない』 「......悪くないなんて、なんで言えるの......」 俺が、俺がリュークを捨てたのに.... 自分の顔を思い出せないように、認識障害までかけて。 自分のエゴですべてを振り切って。 何もかも捨てて。 俺はたった一人の......たった一人の最愛の弟を捨てたんだっ......
/185ページ

最初のコメントを投稿しよう!