秘密

6/17
308人が本棚に入れています
本棚に追加
/185ページ
時計を確認して、まだ時間があるなと思い、リストを捲っているレイに話かけた。 「なぁ、レイ....」 「なに?」 「......いつまで隠しているつもりなんだ?」 ピタッ、と。 レイの紙を捲る手が止まった。 今どんな顔をしているのか、顔を俯けているためわからない。 「あいつはまだ探しているんだぞ。顔も分からない、共に育った“兄弟”を──」 “兄弟” その言葉が出た途端、レイの身体が微かに震えた。 徐に顔を上げ、俺に視線を寄越す。 その綺麗に赤い瞳には酷く悲しげな色が揺れ、今にも儚く消えてしまいそうだった。 「......ま、だ...探してたのか、リューのやつ....」 バカだなぁ...... 小さく漏れたその言葉はきっと気のせいじゃないだろう。 レイがもう一度顔をふせ、次に上げた時にはさっきまでの悲しげな表情は消え失せていた。 その事に胸の奥が痛んだ。 ったく、まだ子供のくせに、妙な所で強くなりやがって。 俺に真っ直ぐと視線を向けたまま、レイは口を開いた。 そこから紡ぎ出された言葉は予想できたもので。 痛くなる胸に、俺は目をふせた。 そして、この繰り返される問答にいつも思う。 なぁ、レイ。 それはあまりにも.... ──あまりにも、残酷すぎやしないか? ―ギルバートside end―
/185ページ

最初のコメントを投稿しよう!