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【リュークside】
あー、ダリぃ......
粛々と話が進むなかで、俺は欠伸を噛み殺した。
「──・・・以上で会議は終わりだ。各自、対応を頼む」
「はっ!」
ふぅ、やっと終わったか。
会議はマスターが締めくくり、それぞれがやるべきことへと向かった。
うちのマスターは、帝も束ねているからな。
まあ、“元”帝らしいが......
「破帝、少し残れ」
「.........」
さっさとレイの所に行こうとした俺は、マスターに呼び止められた。
俺は顔をしかめながら振り返る。
もうすでに、他の帝は部屋を出ていていない。
「で、なんだよ?」
「最近どうかと思ってな。......見つかりそうか?」
「なんだ、その話か......」
俺は深く溜め息を吐いた。
「......なんも進展ねぇよ。生きてんのか、死んでんのかもわかんねぇ」
俺には、血の繋がった兄弟がいる。
一緒にいた記憶もある。
だが、顔だけは思い出せない。
そこだけがボヤけてるようにあやふやだ。
「そうか。でも、諦めるつもりはないんだろ?」
「ああ」
「ならいい」
俺の返答に、ギルは満足したように頷いた。
その様子に話はもう終わりかと俺は踵を返す。
部屋をでる直前に聞こえたギルの声がやけに耳に残った。
『お前だけは諦めるな』
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