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神は神でも、邪神です
――時々、見る夢がある。
それはまさに悪夢というに相応しいもの。
目に写るのは荒廃した土地で、ふと足元を見れば何かの生物だったものや人のようなものがたくさん転がっていて、それに囲まれながら俺は大きな鎌を持って立っている。
そんな夢。
なぜ、こんなところに1人立っているのか?
なぜ、大きな鎌みたいなものを持っているのか?
なにも分からない。
いや、何も理解したくなかった。
こんな地獄のような光景を。
ただ1つだけ、確かなことがある。
そこが地球じゃないってことだけ。
地球には、月が2つもないから---
そこでふっと意識が覚醒した。
ゆっくりと目を開けると、真っ先に飛び込んできたのは白。
瞬きを繰り返して辺りを見渡せば、どこまでも続く真っ白な空間が広がっていた。
上下左右どこを見渡しても真っ白で、自分が今立っているのかも座っているのかも曖昧になりそうだった。
・・・目が痛くなりそうだ。
ふぅ・・と息をつき、混乱しそうになる頭を落ち着かせる。
そこで、さっきまでの出来事を思い出した。
「あー、巻き込まれたんだっけ・・・」
でも、あいつに手を伸ばしたのは俺だからな。
ここは自ら巻き込まれに行った、と言うべきか?
俺が自分の行動に呆れていると、突然背後から声が響いた。
「やっと目が覚めたか?」
「っ!?」
バッと振り返る。
振り返った先にいたのはーー
え、不審者?
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