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「…一九八八年って」
高橋の話を信じてあいぽんで調べてみれば、確かに某アニメの映画で西遊記ネタのものはあった。しかし、
「オレらの生まれる十年以上前じゃねぇか」
生まれる前、どころの話でない。大昔である。
「高橋お前、むしろなんで知ってんだよ」
「いや、再放送とかDVDとかあんじゃん」
「見ねぇよ」
「見ろよ」
「声ちげぇじゃん」
「あっちが元祖だ」
これだから最近の若いもんはって、同い年だろーが。
ハンバーガーをぱくつきながらの言い争いに、高橋を半眼で睨む。
むーっと唇を尖らせた高橋が、だってと拗ねたように言った。
「原作者が脚本書いて作ってんのは、元祖の声の映画だけだし、俺らが生まれる前の作品だけなんだぜ?今の作品を否定するわけじゃないけどさ、見ねぇと、勿体ねぇじゃん」
「…西遊記のは脚本原作者じゃねぇぞ?」
「でもたぶん相談とかはしてるだろ!孫文がいたら正解訊けるけど、孫ビンの言ってることはもしかしたら孫文が言いたかったことじゃねぇかもしれねぇじゃん」
「いや、例えがわかりづれぇよ」
言いたいことはわからないでもないが、なんで孫子で例えた。
高橋が無言で顔を覆い、ふと、顔を上げた。
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