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ぼくと高橋は、所謂幼馴染みと言うやつだ。
同い年で、保育園から高校まで一緒の腐れ縁。
これで高橋が可愛い女の子なら恋にでも発展しそうなものだが、悲しいかな、高橋は男で、ぼくも男だ。
たとえばお互い悪ガキで、当然のようにヤンキーになりチームにでも入っていれば、血と汗の飛び散る熱い友情物語が繰り広げられたのかもしれないが、幸いなことにぼくも高橋もグレなかった。
幼い頃に些細な理由で喧嘩して数年間口を聞かなかったなんてこともなければ、偶然同じ女の子を好きになって取り合ったこともないし、どちらかが片親でもう片方の家に家族のように入り浸ったりもしておらず、全寮制の男子校に入ったり、共学高校でハーレムを築いたりもしていない。
どちらかに異能や霊能があったりもしないし、原因不明の死に方をした知り合いや、祖父の残した莫大な遺産もない。馬鹿みたいに優秀な兄弟姉妹もいなければ、引き籠りの兄弟姉妹もいない。道端でなにか怪しいものを拾ったり、突然なにか怪しい宅配便が届いたりもしない。
家族に芸能人や冒険家がいたりもしないし、じっちゃんや父ちゃんが探偵だったりもしない。魔法学校からの案内状は届かなかったし、どっかの白い営業に契約を迫られたことも…ってアレが来るのは少女のところか。
ふたりとも父母祖父母どころか曾祖父母に至るまで健在、と言うところは珍しいかもしれないけれど、誰を当たっても珍しい身分の人間はいない。
ぼくも高橋も容姿は良く言って中の上。身長も辛うじて背の順の真ん中で、鍛えてはいないから中肉中背。
ないない尽くしのぼくらは、疑うべくもなく、どこにでもいる平凡な高校生。
だが、ひとつだけ特記する点があるとするならば。
高橋は、変人だった。
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