だからぼくらは

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       変人、と言っても、ラノベの中心人物になるような、逸般人ではない。  日本中どの学校どのクラスを覗いても必ずひとりふたりはいるような、ちょっと言動が変わったやつ、程度の変人だ。  料理実習でカレーを作るのに、ジャガイモじゃなくてサツマイモを持って来たとか、修学旅行で京都に行くのに、やりたがったのが京都内にある大学の生協巡りだったとか、遠足のおやつが犬用のお菓子だったとか、宿泊学習で持って来たカードゲームが百人一首だったとか、そんな。  そのたび高橋はぼくに突っ込みを受け、周囲から笑われる。  高橋自身も大真面目に理由を語ったあとで、みんなと一緒になって笑う。  高橋がやる奇行は周りを明るくして、突拍子もない発言をしても嫌われることはなかった。みんな、また高橋だよ、と楽しそうに笑うだけ。  ぼくには、高橋の飼い主、と言う、微妙な立ち位置が与えられたりしたけれど。  でも、高橋の飼い主なんて役回りのお陰ですんなりクラスに馴染めるし、ハブられることもない。高橋のお陰かクラス内でひどい揉め事やいじめが起こることもなかったし、高橋に、こっそり感謝してたりする。  本人には、絶対言ってやらないけどな。      
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