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…その後の高橋の説明によると、どうやら先ほど高橋がふんふんしていたのは国民的アニメの劇場版主題歌で、そのときの劇場版の内容が西遊記についてだったらしい。
「歌詞もそうじゃん。ごーとぅーざうぇーすとってさ」
「いや、だから知らねぇって」
不服げに訴える高橋に、知らないのだと繰り返す。
と言うか、
「西遊記なんかあったか?映画で」
「あったよ!パラレル西遊記!!」
「えー?」
記憶にない。
「いつだよ」
「いや、知らんけど」
「知らねぇのかよ」
高橋に突っ込みつつ、前方に見えて来たファストフード店の誘惑にやられる。塾を出たときはカラカラだったTシャツは、太陽により搾り取られた汗でぐっしょりだ。
「だ、「なぁ、シェイク飲まねぇ?」」
高橋の言葉を遮って、ファストフード店を指差す。
「金ねぇよ」
「今、ソフドリサイズアップ無料」
「シェイク関係ねぇじゃん」
「あちぃんだもんよー…」
ばたばたと湿ったTシャツで身体をあおぎながら言うと、高橋は片方の眉を上げて頷いた。
「わかったよ。腹減ったしな」
そう言えば昼メシ代貰ってたわと言う高橋の言葉で、ぼくのお腹まで空腹を訴え始める。
今日の夏期講習は、早朝開始午前放課だったのだ。
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