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「応戦なんかしてません。」
「してると幸斗は言ってるぞ。」
「してません。」
「はあ…素直じゃねえな。」
清四郎は呆れてため息をついた。
その時。
「もしかして、どこかに仕えていた忍なのかな?」
「!」
急に言葉が飛んでくると燕は肩をピクリと反応させる。
その声の主は透麻だった。
「し、忍?」
「忍だと?」
清四郎と男は目を丸くした。
「忍って伊賀に里があるあの…。」
「けど、それだと応戦していた意味が分かるね。」
一吉は1人納得する。
燕は透麻を見つめる。
「何故、私が忍だと分かったんですか?」
彼に訊ねる。
すると透麻は微笑みながら答える。
「その姿と、昨日会った時の短刀の構え方を見て確信したんだ。しかも普通の忍じゃない眼差しをしていた。」
そこまで見ていたのかと燕は驚いて目を見開いた。
「忍ということは本当なのか?」
朝霧は燕に訊ねる。
燕は少し躊躇し彼に頷いた。
「でも、忍だったら更に疑いが深まるんじゃないですか?」
小柄な少年は一言付け足す。
「そ、そうだ!朔の言うとおり、こいつがどこかの忍で諜報のためにワザと俺たちに捕まった考えだってあるんですよ!」
「清四郎、口を慎みな。」
「なっ…!」
一吉はピシャリと清四郎に言った。
「で、でも!」
「言いたい気持ちはわかる。だけど、まず場を考えてくれ。それに今回の件は君の責任だったあるんだ。」
「!」
一吉の言葉に清四郎は言葉を詰まらす。
「ぐっ…分かりました。」
渋々引き下がった。
「朝霧さん、蓮司さん。」
透麻は二人に向き直った。
「俺は幸斗の意見に賛成です。」
彼らの前でそう告げた。
「このまま見逃すより、幸斗が評価したほどの実力を持つ彼女を、この組に置いておけば何か役に立つことがあるのかもしれません。」
「役に立つだと?」
蓮司は透麻に聞き返すと彼は頷き返す。
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