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「うおらああ!」
「くっ!」
炎が踊る城の中で金属がぶつかる音が響く。
他の部屋や廊下には、無惨に斬られた武士達や女中達の死体が血まみれになって転がっている。
城中に構える大広間で、多数の男達と苦闘する白茶色の髪をした少女がいた。
「はああっ!」
少女の名は七草燕。
彼女は、血で赤く染まった自分の手に持っている短刀を目の前の男に振り下ろす。
その刃は男の腹を目掛けて斜めに振り落とされる。
「ぎゃあああ!」
鮮血を吹き出しながら、男は倒れていく。
その後ろを待っていたかのように、別の刺客が次々と燕に刀を向けてきた。
「おのれー!」
「小娘が!」
雄叫びを上げながら、彼女の方へ刀を振り下ろしてくる。
2人掛かりなら倒せる、と彼らは思ってのだろう。
しかし、その戦法は燕には通用はしなかった。
「愚か者め…!」
彼女は素早く振り返り、男達の方へ突進する。
そして短刀を横に振り、彼らの喉にめがけて刃の閃光が走った。
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