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決闘を行うため、燕たちは中庭へと移動する。
縁側で朝霧たちが見守る中、燕と透麻は互いに向き合った。
「勝負は一本勝負。先に相手から一本を取った方が勝ちだ。」
透麻は木刀を片手に持ちながら彼女に勝負内容を伝える。
「分かりました。」
燕は静かに頷く。
「おい、本当に大丈夫かよ…?」
「お前が緊張してどうするんだ、清四郎。」
「まあ、あの人が透麻さんに勝てるとは思えないですが、とりあえず拝見しましょう。」
縁側にいる者たちの間にも緊張感が走った。
「一吉さん、審判お願いしてもいいですか?」
透麻は一吉に審判を頼む。
「え、いいけど…。」
「ありがとうございます。」
一吉に礼を言って微笑んだ。
彼は二人の前に立ち、口を開く。
「これより、七草燕と朱月透麻の一本勝負を始める!両者、構え!」
お互い、木刀を構え態勢を低くする。
沈黙の中、二人の間に風が吹く。
「始め!」
一吉の合図で両者は地面を蹴った。
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