第4話 突然の初仕事

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(ん?風…?) 風が吹く音で燕はゆっくり瞼を開く。 目の前の光景に目を見開いた。 (あれ?…ここはどこ?) 視界には霧に包まれた草原が広がっていたのだ。 人の気配はなく、動物の姿も見当たらない。 (私さっきまで布団に…。) すると、背後から足音が近づいてくる。 「誰?」 素早く振り向き、短刀を構えた。 黒い影がこちらに近づいてくる。 そして、霧の中から出てきた人物に燕は息を呑んだ。 「俊宏さ、ま?」 灰色の髪に整った顔立ちの男、自分の主の姿に目を疑わせた。 すると、彼は燕に微笑みかけた後、体を翻しそのまま霧の中へと向かって歩いていった。 「待ってください!俊宏様!」 燕は慌てて俊宏の後を追った。 だが、一向に距離は縮まらない。 「私、まだあなたに…きゃっ!」 俊宏を追いかけようとしたが、躓いて地面に転んでしまう。 上半身を起こし、彼が霧の中へと歩いていく姿がどんどん小さくなっていった。 「俊宏様!俊宏様!」 名を呼んでいくと同時に視界がぼやけていった。 ****** 「待ってください!…っ!」 気がついたときには俊宏の姿はなく、見慣れない天井があった。 燕はゆっくり上半身を起こし、辺りを見回す。 そこは自分の部屋だと確信した。 「ゆ、夢か…。」 ここは現実だと安堵し、額に手を当てる。 冷や汗が髪と寝巻きに張り付いていた。 深くため息をつき、障子の方を見る。 外はまだ暗く、明け方のようだった。 「皆はまだ寝ている時間か…けど、丁度いいかも。」 布団から立ち上がり、忍び服に着替え始める。 そして、部屋を出て廊下を歩いた。 燕が向かった先は勝手場だった。 さすがにこの明け方、誰もおらず燕1人だけだった。 (無理矢理ここに入れられたけど、これからお世話になるんだからせめてこれだけは…。) 勝手場に足を踏み入れ、次々と調理器具を並べていく。 「えーと、野菜はどこなのかな?」 野菜がどこにあるか探そうとキョロキョロと周囲を見回した。
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