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画面に指を滑らせながら、
「ねー、 エリカとやったってほんと?」
『へ?』
オレはそれ以上何も言えず黙ってしまった。
「…エリカの事 好きなの?」
オレは画面の上を滑る諄太の指を見てた。
「聞いてる?」
冷たい声に変わる。
オレは聞いてるよって声には出さず頷いた。
指が止まりオレに視線を移す。
「言葉にしないと解らない…黙ってたら解らないよ」
諄太が珍しく声を張り上げた。
『エリカが言ったのか』
オレはやっと声にした。
諄太が頭を振る。
「さと美…」
さと美はオレたちと同じ中学から来てエリカと仲良くなり、よくツルんでいる友達だ。
「…やったの」
諄太がもう一度聞いた。
オレは速くなる鼓動を感じながら、
諄太にバレない様に溜息を吐く。
そして、
『あぁー 高1だよ、遅いくらいだろ』
出来るだけ明るい声で話した。
「オレだって、まだだよ 」
オレは諄太の顔を見た。
「エリカが好きなの、好きだからやったの?」
オレは頭を振る事も
声を出す事も出来なかった。
ただ諄太の顔を見てた。
諄太の顔が辛そうに歪むから…
その後、何を期待したのか…
オレは諄太の言葉を待った。
「…オレも初体験、済ませていいよね?」
諄太のその言葉が胸に突き刺さる。
寒気がした。
体が震え出しそうだった…
諄太がオレを蔑むように見た。
いいんじゃないか…って、
薄く笑って言った…
顔が引き攣って笑えない、
喉の奥がギュッと
締め付けられ痛くなった。
だから、やっと頷いた。
「そうだよね」
って諄太が言った。
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