①賀月の初体験

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画面に指を滑らせながら、 「ねー、 エリカとやったってほんと?」 『へ?』 オレはそれ以上何も言えず黙ってしまった。 「…エリカの事 好きなの?」 オレは画面の上を滑る諄太の指を見てた。 「聞いてる?」 冷たい声に変わる。 オレは聞いてるよって声には出さず頷いた。 指が止まりオレに視線を移す。 「言葉にしないと解らない…黙ってたら解らないよ」 諄太が珍しく声を張り上げた。 『エリカが言ったのか』 オレはやっと声にした。 諄太が頭を振る。 「さと美…」 さと美はオレたちと同じ中学から来てエリカと仲良くなり、よくツルんでいる友達だ。 「…やったの」 諄太がもう一度聞いた。 オレは速くなる鼓動を感じながら、 諄太にバレない様に溜息を吐く。 そして、 『あぁー 高1だよ、遅いくらいだろ』  出来るだけ明るい声で話した。 「オレだって、まだだよ 」 オレは諄太の顔を見た。 「エリカが好きなの、好きだからやったの?」 オレは頭を振る事も 声を出す事も出来なかった。 ただ諄太の顔を見てた。 諄太の顔が辛そうに歪むから… その後、何を期待したのか… オレは諄太の言葉を待った。 「…オレも初体験、済ませていいよね?」 諄太のその言葉が胸に突き刺さる。 寒気がした。 体が震え出しそうだった… 諄太がオレを蔑むように見た。 いいんじゃないか…って、 薄く笑って言った… 顔が引き攣って笑えない、 喉の奥がギュッと 締め付けられ痛くなった。 だから、やっと頷いた。 「そうだよね」 って諄太が言った。
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