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南校舎の屋上に居る生徒たちの声が遠くに聞こえる。
古いベンチに寝っ転がり雲を見ていると、
また、重い扉が音を立てて開いた。
オレは舌打ちをし目を閉じた。
「…賀月」
その声に飛び起き視線を向けた。
『諄太、どうしてここに?』
「賀月が昼休みどこかに消えちゃうから…前に後をつけた、 その時はすぐにエリカが上がって来たから…」
『え、いつ?』
いつ、なんて聞いたけど…
エリカがここに来たのは2回だけだ。
「昼休みは、ここによく来るの」
諄太はベンチの横に立ったまんま話していた。
『南の屋上と違って、こっちには殆ど生徒が上がって来ないから…』
諄太は屋上を見渡し、
「そうだね、何も無いし、
それにこっちの校舎の方が高いから南校舎からも回りからも見えないんだね」
オレは軽く笑って隣を叩いて、
『座れば』
って諄太に言った。
「ここでやったの? エリカと」
オレは諄太を見上げた。
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