③東校舎の屋上

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「ね、この頃、成沢君 なんか少し変わった気がするけど」 エリカが諄太に話し掛けてるのが聞こえた。 「そ、何も変わらないけどね…」 「なんかさ、男ぽく見える時がたまにあるんだけど、 気のせいかな? ねぇ、さと美そう見えない…」 「…たまになの」って諄太が笑う。 西島は、 「そうかな、中学の時から変わらないと思うけどな、 栗原君はどう思う?」 って西島が、 頬づえ付いて3人を黙って見ていたオレに聞いた。 『んー 変わらないんじゃない』 「…そうだよね、成沢君っていつもこんな感じだよね」 って西島が笑って、 「エリカ、購買部行くよー」 エリカはさと美に呼ばれ席を立つまで諄太の顔を見ていた。 オレが前に向き直ると後ろで椅子を鳴らし諄太が席を立ちオレの横に来た。 オレは諄太を見上げる。 『ね、今日 家に寄ってて』 諄太は見下ろしオレを見つめる。 火照り出す顔を押え頬づえを付き直し窓の外に視線を向けた。 『…賀月』 甘えた声で呼ばれ、 オレは外を見たまんま頷く。 諄太が席に戻る時、オレの首と手をサラリと触った。 ドキッとして振り返ると諄太がオレを見てニコリと笑った。 胸が小さく跳ね…目を瞑ったオレ。 きっと 変わったのは諄太じゃ無く、 オレだ… そう思った。
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