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職員室に入ると教科担任が、
「あー 済まないね、これ」
って言って手渡された。
「すぐ 私も行くから先に教室に行って配っておいてくれないか」
って言った。
教室に戻る途中、西島が、
「栗原君、さっきの話、成沢君には内緒ね」
ってキラキラした顔で言った。
好きな人の話をするだけで女子って、こんなに雰囲気が変わるんだって思った。
諄太にエリカとのHの話を西島がしたと聞いてる。
そんな事を言うようには見えなかった。
『諄太にオレとエリカの事、話したって聞いたけど…』
「もしかして、Hの話?」
オレはチラッと西島を見て前に向き直ると、
「頼まれたのよ、ごめんね、成沢君の反応を見たいからって、エリカと栗原君がやったって言ってって」
西島がオレを見て、
「でも、本当はやって無いんでしょ、そう言ってたよエリカ。やってないけど、やったって言ってって… 後で成沢君にはちゃんと説明しておくからって」
『 … 』
またオレを見て、
「ちゃんとエリカ説明したんだよね? そんな事で成沢君と栗原君、仲悪くなったりして無いよね?」
って心配そうにオレを見るから、
『ん、 何も変って無い』
ってオレは言った。
西島は、
良かった成沢君にやな思いさせたか
と思っちゃったって微笑んだ。
羨ましかった。
好きな人の話を、
諄太の話を口に出来る西島が…
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