9.劇場風

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第2幕 本日は当劇場にお越し頂き、誠にありがとうございます 本日の舞台は翡慎が主演となっております 大変長らくお待たせしました、第2幕の開演でございます 皆様、お楽しみ下さいませ 君にやってほしいこと ≪半年前のボクへ そっちは午前4時だよね 普段ならぐっすりと寝ていると思うけど、頑張って起きてほしい それで、今から書いてあることをやって欲しいんだ お願い、君のためなんだ これだけは絶対に失敗しないで 音をたてないように行動してほしい さもないと、気づかれてしまうから まず、一階に降りて台所から包丁を持ってきて そして、君の部屋の隣のドアを開けて部屋に駆け込んで一撃で切り裂いて たった一人の、おバカな弟が首を吊ろうとしている、そのやけに頑丈で嫌になる紐で作られた輪をね そうしないと、君の弟が首を吊って死んでしまうんだよ 目にした光景と母さんの悲鳴は多分一生君の頭の中から離れなくなる 前日までずっと泣いて、笑いあっていた弟が、次の日には死んでいるんだよ いなくなってしまうんだ あと、翠に言ってあげて [「自分が居なくても大丈夫とかふざけるな!! ボクがそんなこと言って死んだら、翠だって泣くでしょ?」って] お願い、お願いします お願いだから、この手紙を半年前のボクに送らせてください お願い、神様 「おやすみ、また明日ね 翡慎」 って、言ってたじゃないか…≫ これにて第二幕は終了となります いつも隣にいた片割れを失った彼は、過去の自分に届くはずない手紙を書き続けていたのでしょう 貴方もご兄弟が何かを隠していそうなら、相談に乗ってあげてください もしかしたら、突然消えてしまうかもしれませんからね ご清聴ありがとうございました 第3幕でお会いしましょう
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