ある小さな恋の物語⑧catastropheの手前②

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ある小さな恋の物語⑧catastropheの手前②

「そう言われてしまうのは、優先順位的で言うのなら、サブノックの文化的にスパンコーンのお兄さんのスパイク様が、お嫁さんを既に2人位貰っていて、お子さんが数人いてもおかしくはない御年なのに、独り身だからではないからですか?」 「うわあ、言うねえ、ジニアさん」 褐色の肌の元気の良さそうな所が印象的だけれども、中々整っている顔立ちである少女(ジニア)に、苦笑いを浮かべながらスパイクはそう答えていた。 そもそもこうなっている状況をかいつまんで離すのなら、”そろそろ良い相手はいないのか?”という、サブノックの賢者の追求から逃れる為に、(スパンコーン)の従者で親友でもある、茶を運んできてくれたサルドの方に話しを向けた事だった。 サルドは孤児になった己を保護してくれた恩人(スパイク)が、現在自分の主としているスパンコーンの”恋人(ジニア)”について知りたいと言ってくると、全身を覆うような民族衣装の中から朗らかなテレパシーを頭に響かせる形で挨拶を返してくれる。 そして、スパイクが賢者に鋭い視線を注がれつつも(くだん)の、(スパンコーン)の恋人になったという異国の少女について尋ねられたなら、サルドは直ぐに返答してくれる。 《ああ、それなら、本人(ジニア)に直接伺ったらどうですか?。 時間的に、もうそろそろ戻って来てもおかしくはないですから―――噂をすれば何とやら、スパンコーン様と丁度でって来たみたいですよ。 多分、スパイク様が此方にいらしていると知っているのなら、必ず挨拶に来るでしょう》 お茶を出し終えそう言ったなら、扉のない賢者の部屋にサルドが魔術の道具として使う(こぶし)大の水晶玉が浮遊しながら入って来て、持ち主の傍で待機する。 待機する水晶玉にサルドが手を翳すと、再び扉のない部屋をでて行ったなら、入れ替わる様に褐色の肌の少女が、荷物を抱えながら入って―――戻って来た。 「賢者様、戻りました、お土産ありますよ!―――って、あ、お客様ですか」 「ああ、ジニア、こちらが以前話したそれなりにいい年して、スパンコーンの腹違いの兄でもあるのだけれども、この国で武将もしているし独身貴族という奴をしているスパイク・ストラスだよ」 「……賢者殿、そこまで言う事はないのでは」 そうスパイクは反論をしたけれども、弟の彼女から冒頭の様な返しを独身貴族はされたのでした。
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